行政書士&中小企業診断士 櫻井義之のブログ

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企業経営:マーケテイング理論学習で思うこと

中小企業診断士試験科目の中心である企業経営理論は経営戦略、組織運営、そしてマーケテイング論に三部構成です。 どれも米国学者の理論がベース。 特にマーケテイング論は30年ほど前から関連本が多いコトラーさんの理論一色の感があります。すなわちマーケテイングミックス、4P(Product, Price, Place, Promotion)で、マーケテイング計画の中でとりあえず4Pの視点で整理すると体裁が整う、ちょっと古いテンプレートのようなものだと思っていました。全体的にターゲットマーケテイングやソーシャルマーケテイング重視の傾向の中、受験勉強のような科目になっていることが気になります。

 

たとえばEDLP戦略のような知らない単語が出てきます。 Every Day Low Priceの意味で、米国の巨大小売店Walmart価格戦略を指します。日本でも80年代はデイスカウントストアが小売業界の破壊者というとらえ方をされていましたが、生き残ったのはドン・キホーテくらいでしょう。 米国は自由な市場競争先進国なので小売り産業の発達と変遷は非常に激しいです。 なぜWalmartが成功したのか、90年代にはTarget(倒産)という企業と同じようなタイプの小売りだと思っていましたが、安売りだけが成功の理由だと思えません。 他も安売りでした。

 

POSを使った購買動向や在庫管理、デジタルサイネージなどIT活用に積極的にチャレンジを繰り返したことも指摘されます。一方、日本にも進出しているCostco(会員制で、店舗ではなく倉庫という位置づけ)に対抗し、Sam's Clubを立ち上げましたが、あまり振るいませんでした(失敗です)。理由は同じ商品がSam'sだと箱買い価格だけど、同じ単価でWalmartなら1個から売っていたからです。

 

全くの私見ですが、Wakmartの調達モラル・哲学みたいなものだったと感じます。 バイヤーは一切プレゼントなどを受け取らず、打合せ時間は最大30分、徹底した無駄の無いコスト意識。 強力な資金収集力と強引な出店計画によって売上を伸ばしましながら、その中だで仕入原価管理にノウハウがあるのではないかと想像します。 それをテキストでは一言で「EDLP戦略とは一時的な値引きをしない代わりに恒常的な価格引き下げで販売する方法」と解説されてしまいます。

 

コトラーさんの理論をベースは良いですが、日本の小売業を材料に応用力や想像力を磨きながら、各キーワードを理解するような日本的手法を望みたいと思います。