行政書士&中小企業診断士 櫻井義之のブログ

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返済期日のないお金の貸借契約

お金を貸す契約のことを金銭消費貸借契約と呼びます。お金を消費して消えてしまうのではと誤解しそうな名称です。 消費貸借とは借りたものと同種のもので返す契約で、お米や穀物など重量で計れるものも対象ですが、一般的にはお金です。1万円札10枚を借りた人は、別の番号でも同種の1万円札10枚を返せば良い訳です。 1000円札100枚でもお金としては同種ですが、嫌われますね。 対比される貸借としては使用貸借があり、これは借りたものをそのまま返す契約で、レンタカーや本などが対象です。だから金銭使用貸借ということは、マジックショーでお客さんの1万円札を借りて、破いたり焼いたりして元に戻したあと返すときくらいです。その場合もお客さんは何番の1万円札かはチェックしていないでしょう。

 

さて、金銭消費貸借契約で口頭約束などで返済期日を約束しない不確定期限付き債権のケースがあります。なかなか返してくれなかったら貸主は心配になってきますが、返済してもらう手段があります。 まず、貸主が借主に対し、相当の期間を設けて返済を催促(催告と言います)します。これは口頭でも構いませんが、後日の証拠のためには内容証明がベストです。 誰から誰にどんな内容の郵便を送ったかを郵便局が保存して証明してくれるサービスです。(郵便局が催促してくれるわけではありません) そうすれば返済期日が確定し、一定期間後は借主が債務不履行の責任を負うことになります。 

 

ややこしいのは「出世払い」という約束でお金を貸してしまった場合です。これも不確定期限付き債権ですが、何をもって出世とするのか、法律上は「成功して返せる目途がついたときまで返済を待ってもらえる借金」と解されます。曖昧ですね。 借主としては「借りて返済しないつもり」かも知れません。 そういうとき、貸主は「返してもらえる目途がついた」と主観的に思えるときに催告をすることになります。課長に昇進とか部長に昇進とか、賞与が出た時など何でも構いません。 

なお、出世が絶望的なった場合、出世しないことが確定=返済期日がきたと解し請求することがベストです。現実的にはすぐには返してもらえないでしょうが、返済期日を過ぎた債務不履行とする意味があります。

 

どちらにしても、金銭消費貸借契約は抽象的表現は避け、返済期日を明確にしておくべきです。

 

さくらい行政書士事務所

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