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コロナ禍の中での支援金の事前確認

コロナ禍の中での支援金の事前確認

昨年2021年度は一時支援金・月次支援金の事前確認を300件以上行い、今年2022年度の事業復活支援金の事前確認も250件実施したので、延べ550件以上となりました。すべて無償のZoomオンライン面談です。

 

最近になって2020年度の持続化給付金の数億円規模の詐欺事件が連続して報道されています。2020年度、得体の知れないチャイナウイルスに対する初めての緊急事態宣言が出され、国民一人当たり10万円の定額給付金(市町村より)と共に、売上が減少した事業者に対する持続化給付金(個人100万円まで、法人200万円まで)が電子申請で行われましたが、報道によると「性善説ベース、早急に給付することを目指し審査を簡素かした」の結果、不正受給が増えたという言い訳になっているようです。

 

この言い訳って、本当にそうでしょうか? ①対象月の売上台帳、②収受印付きの確定申告書、そして、③開業特例の場合は税務署への開業届けを、経産省から委任を受けた外注業者に雇用された一般人が不正を見抜けなかった原因は他にあるのではないでしょうか? ①の売上台帳は疑っても仕方が無いものです。 しかし、②や③は税務署にデータが残っているでしょう。 e-tax申告でなければデジタル化されていないのでしょうが、調べる気があれば調べられます。そもそも国民の多くは、確定申告書の何ページ目に何が記載されているのか、青色申告の決算書と白色申告の収支内訳表がどれなのかの認識が低いことが実態です。 収受印が薄いと納税証明書を付けさせること自体にも違和感がありました。

 

そして、申請者がその事業を行っているかどうかの疑いを持つ感度も低かったのでしょう。 なぜ、電話していくつか質問しなかったのでしょうか? 業種、地域、売上規模などから想定すれば、その事業を行っているかどうかの判断は、わかる場合がほとんどでしょう。

 

また、2020年度後半から沖縄県京都府などで、確か税理士絡みの不正発覚事件が次々と出ていましたが、2年近く経って、急に億円レベルの悪質、かつ税務署職員絡みの犯罪事件。 警察庁が調査して逮捕、起訴されるタイミングなのでしょうが、もともと当該給付金は無駄な費用をかけても、能力不足によるザル状態の事務局。 全体の0.1%程度の不正、損害が起きても当然の結果のような気がします。

 

一方、昨年から今年にかけての支援金は、登録確認機関による事前確認というステップを入れて不正を減らす工夫をしたのでしょうが、まず最初に事前確認難民が発生。 商工会会員や金融機関から融資を受けている顧客は事前確認はできますが、無料の事前確認をする当職のような士業の登録確認機関へ問い合わせが集中した時期がありました。

 

後付けで事前確認一件当たりに手数料を1,000円と発表されましたが、それは申請者に給付された場合のみ、かつ30件以上を行った場合、しかもその手数料の振込は半年以上のちの忘れた頃。

 

2022年の事業復活支援金の事前確認では手数料を倍増し2,000円で、10件以上と改めましたが、改めなければならないほど、この運用には非難が多かったのでしょう。

 

そして、申請者の一部に対しては、訳の分からない「不備ループ」が発生。 当職の場合、事前確認した人は個人事業主が大半でしたが、約1割が「不備ループ」にはまり、諦めて申請取り下げや、不給付決定が通知されました。ざっくり言って、「本当にその事業を行っているかの疑い」や「本当にコロナの影響による売上減少かの疑い」なのでしょうが、そんなことを判断する能力が外注先にあるものなのか疑問です。 長年、その事業を行い、真面目に確定申告を行い、所得税や事業税を払ってきた事業者の中には口惜しさや憤りを感じておられる方が多数いました。

 

当職も、事前確認を行った方の中で「不備ループ」にはまった方から相談を受け、事務局への問い合わせ確認、理由書作成、申請者へのアドバイスなどを行いましたが、その労力は増大し、何百時間も浪費しました。

 

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