行政書士&中小企業診断士 櫻井義之のブログ

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家賃支援給付金審査のばかばかしさに呆れます。

5月に始まった持続化給付金の申請サポートを何十件も行いました。インターネットで必要書類を添付して申請するだけなので、行政書士として作成する書類は無く、内容自体は簡単です。当初は事務局への電話がつながらず(つながりにくレベルではなかった)、よく当事務所へお問い合わせがありましたが、ほとんど電話やメールの説明で申請ができたようです。たまにノートパソコンを持ち込んで申請を手伝うこともありましたが、ボランティア活動として誰かのお役に立つことの満足感もありました。

 

一方、7月中旬から始まった家賃支援給付金は、事務局への電話はかかりやすく改善されていますが、審査基準が不明瞭、不備理由が不親切です。 事務局といってもトランス・コスモスさんのようなコールセンターへ丸投げ外注でしょう。マニュアルの不備もあるようです。不備理由の連絡が来ても、文章の意味がわかりません。たとえば、

 

・法人番号の不一致➡確定申告書の法人番号の抜け、法人概況説明書にはあり(しかし税務署は収受済み)

・法人概況説明書の前年月売上高の不一致➡四捨五入による数字1違い

・確定申告書と法人概況説明書の売上額の不一致➡四捨五入による数字1違い

・確定申告書と法人概況説明書の事業年度の違い➡片方は平成30年8月~令和1年7月で正しく、もう片方は平成31年8月~令和1年7月と単純ミス(しかし税務署は収受済み)

 

私が受けた不備理由は確定申告書と法人概況説明書の記載に関してばかりで、➡印は、たぶんこういう理由だろうとの推測です。

 

事務局(コールセンター)に電話で不備理由を問合せしても、審査員にしかわからないので、後で連絡しますと伝言ゲーム。 連絡なんて忘れた頃にしかかかってこず、それも0120のコールセンター番号でかけてきて、電車の中などで電話に出れなくてもメッセージを残さない。0120にかけなおしても、また審査員ではないマニュアル通りのコールセンターでまた伝言ゲーム。

 

当初は何が不備なのかを知らせて欲しいという伝言だけでもまったく解決しません。

 

・今日は一日電話がでれるようにしますと言っても、いつかけられるかわかりませんという答え。

・もし出れなかった場合、折り返し直接掛けなおせるように審査員担当者の直通からかけてくださいと頼んでも、マニュアルにないためできませんの答え。

・じゃ、少なくとも留守電にメッセージを残してくださいと頼んでも、マニュアルにないためできませんの答え。

 

何人かのコールセンター担当者も個人的にはこれでなぜ審査が通らないのかわからないという方もいました。 件数が多いだけでなく、持続化給付金で不正が多かったために厳しくしているとの言い訳も数回聞きました。

 

不正申請は絶対だめですが、上記のようなうっかりミスでも税務署が収受した書類であり、不一致理由が明らかな蓋然性によって判別できるものまで通さないことが多発しているようです。 明らかな蓋然性があるミスを、既に税務署が収受した申告書を再提出しろと要請しているのか、手書きで勝手に修正しろと要請しているのか、理由書を書いて証明しろと要請しているのかまったくわかりません。そもそも不正申請が起きやすいポイントは今年度の売上減少だと思います。その売上減少を客観的に判断できる証拠書類や、税務署や市町村役所を利用した確認を行うべきではないかと考えます。

 

こんな不明瞭な審査方法と審査運営のために、給付が遅れている申請者の苛立ち、そしてコールセンターから申請者まで無駄な時間をつぶされていると思うと非常に残念です。

コールセンターや申請システム構築・運営などで100億円単位の国費がかかっているそうですが、それはこういう緊急事態に対する国債、即ち未来の国民へのツケで行っていることになります。

 

事務局やお役人は厳しくしているつもりが、実は正しくないことをやっていることになり、本当に呆れます。

 

家賃支援給付金についてのブログはこちらです。

www.sakurai-gyouseisyoshi.com

 

追記

上記ブログを書いてから、何件も賃貸借契約書の不備が発生しました。pdfの字が薄いとか(十分読めるレベルでも)、訂正印を片方しか押していないとか、賃借人と申請者名が違うとか、何かとあら探しをしているようです。賃借人と申請者名が違うのは確かにそのままではまずいので、夫婦でしたが、同時期に或る許認可申請で作成した、賃貸人および賃借人から申請者(使用者)への「使用承諾書」を2枚付けて理由を書いても、所定の紙に押印しないと「このままでは給付金をストップする」と言われたケースがありました。判断ができないマニュアル通りの審査で、「ストップ」する権限なんてあるのでしょうか? 賃貸人の情報も入力しているのだから、疑いを持つのなら賃貸人に確認すれば良いのではないのか?

 

持続化給付金も家賃支援給付金も来年1月15日までの申請です。 さまざまな不満を持つ申請者は何万人もいるでしょう。一部は諦めてしまった人もいるでしょう。本当に残念な状況が続いています。